ジャパン・スネークセンター
管理・運営 (一財)日本蛇族学術研究所
〒379-2301 群馬県太田市藪塚町3318
TEL. 0277-78-5193  Fax 0277-78-5520
Copyright © 2018 The Japan Snake Institute. All rights reserved.

もし咬まれたら ヘビの判別

 ニホンマムシは北海道から九州まで、ヤマカガシは本州、四国、九州に生息しているが、ヤマカガシ咬傷は非常に稀である。しかし、マムシ咬傷がその症状やヘビの判別の間違いからヤマカガシ咬傷と間違われることがしばしばある。

 また、アオダイショウの子ヘビは親とは模様が異なり、人に出会うと頭を三角形にして威嚇し咬みついてくることもあるので、マムシと間違われることも多く、イワマムシ、シロマムシ、キマムシ、ヤシキマムシ、カママムシなどと呼ばれることがある。他にも、子ヘビと親で色や模様が違う種類も多いため、判別できないことがほとんどである。

●咬んだヘビの判別は難しい

 毒蛇咬傷ではヘビの判別が非常に重要であるが、夜間の咬傷や昼間でも草むらで咬まれた時にはそれがヘビかどうか確認できないケースも多い。そのようなケースでは患者がヘビを確認していないため、あまり進行していない状態ではドクターも小さな刺し傷を虫刺されと誤診してしまうことが多い。そのためマムシ咬傷の治療が遅れ、腫脹が拡大して重症化してしまうことがある。

 また、比較的よくマムシを見て知っている農家の人でも、下の写真のようにいろいろな色彩のマムシがいるため、判別を間違っている場合もしばしばある。そのため病院で間違った治療が行われることになる。このような判別間違いは多く、毎年ヤマカガシ咬傷と診断されてヤマカガシ抗毒素の依頼があるが、そのほとんどが誤診である。

分布

ニホンマムシ・・・北海道~九州

ヤマカガシ   ・・・本州、四国、九州

 

A. 色彩や模様からの判別

1) 褐色ないし赤褐色もしくは茶色ないしこげ茶色で、丸い大きな斑紋が体の左右に1列ずつ並び、 その斑紋の中心に暗色の点がある。眼では虹彩の下半分は黒っぽく、眼の後ろに太い黒い線が続く。全長は大きくても60cmほど。

 →ニホンマムシ

2) [本州、四国、九州]

[関東、東北]

赤と黒の斑紋が交互に並び、下あごや頸の付近が黄色っぽい。

[近畿、中部]

全身がくすんだ緑色で、赤や黒の斑紋はほとんどないか、赤い斑紋がわずかに残る。

[中国、四国]

全体的に青っぽく、赤い斑紋があまり見られない個体が多い。

[九州]

赤と黒の斑紋が見られるが、関東産に比べると黒の斑紋が大きい。

   →ヤマカガシ

3) オリーブ色ないし灰色で背中の中心にそって、はしご状の模様がある。虹彩の色はうすく、眼の後ろに黒い線が続く。

 →アオダイショウの子ヘビ

関東・東北

​近畿・中部

​中国・四国

注意)ヤマカガシやシマヘビでは全身が黒い個体(黒化型)がしばしば見られる。マムシでも、かなり赤っぽいのから黒いのまで色彩にはかなり変異があり、また、丸い斑紋も形がくずれていることがある。 

 

B. 牙痕(咬まれた傷跡)からの判別

1) 針で刺したようなあとが1つまたは1cm前後の間隔で2つある(時には3つまたは4つの場合もある)。まれに小さな切り傷として残ることもある

 →ニホンマムシ

2) 1,2列ないし4列の歯形がある。しかし、咬まれた時には前の歯だけが引っかかる場合が多く、1、2mmの間隔で2、3個の傷が見られる。

 →ヤマカガシおよび無毒ヘビ

 

C. 症状からの判別

1) 特別な症状はない。

 →ヤマカガシおよび無毒ヘビ

2) 咬まれた局所を中心に痛みと腫れが広がる。(まれに軽度の場合もある)

 →ニホンマムシ

3) 数時間から1日ほど経過して、歯ぐきや傷からの持続性の出血が見られる。30分ほどで一過性の激しい頭痛を伴うこともある。

 →ヤマカガシ

4) 痛みや腫れは軽いが、血圧の低下や出血傾向が見られる。

 →ニホンマムシ

 

D. どうしてもヘビが判別できない場合、確信が持てない場合、またはヘビかどうかも判断ができない場合