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・もしヘビに咬まれたら
ステップ 1 ーまずは落ち着いて安静にー
ひとまず、日本の身近な毒ヘビに咬まれて即死することは、まずありません。
しかしながら、誤った対処をしたり、放置を続けると、重症化する可能性も少なくはありません。ひとまず落ち着いて、冷静に状況を見極めて下さい。咬まれた場所が家の庭や道ばた、田畑などの市街地であり、緊急の連絡が可能かつすぐに病院へ行けるのであれば、それが第一です。山中など、市街へ行くまでに時間を要する状況である場合は、安静にしながらステップ 2 へ移って下さい。止血や毒を吸い出す、救急用器具(ポイズンリムーバー)等の使用は、適切な指導を受けた熟練の方のみ行いましょう。よく知らずにその場凌ぎで器具を使用したり、安易に真似をすると、かえって状況を悪くします。
ステップ 2 ー毒ヘビかどうかの確認ー
毒ヘビかどうかを判断する材料として、一番有効なのは『写真』です。体の一部が写っているだけでも、専門家であれば判別が可能です。決して無理をする事なく、可能な場合のみ咬まれたヘビの姿を撮影しておいて下さい。難しい場合は特徴をメモするなどして情報を記録しましょう。ヘビの種類を正確かつ瞬時に判別する事は難しく、一般の方にはほぼ無理です。ひとまずは上記の情報を確保した上で、ステップ 3 へ進みましょう。自分で確認をする方は、※ヘビの判別について↑ を参考にして下さい。わからない場合は必ず病院・専門機関へ連絡するようにしましょう。マムシやヤマカガシに咬まれた場合でも、症状が出始めるまでに半日程度は猶予があります。
ステップ 3 ー病院・専門機関への連絡ー
咬まれたヘビが毒蛇である可能性がある場合は、体の安静を確保しながら、病院への連絡をしてください。救急へ連絡をすれば、救急車が必要かどうかの判断をしてくれます。周りに連れて行ってくれる人がいる場合、または呼べる場合も含め、救急車よりも早い手段がある場合はそちらを優先して構いませんが、なるべく急いで病院を受診するようにして下さい。急ぐというのは時間的な意味合いであって、『走れ』という意味ではありません。咬まれたヘビが、例え毒ヘビであっても、アナフィラキシーショックを除き、一刻を争う事態につながることは極めて少ないため、慌てなくて大丈夫ですが、安静にしつつなるべく早く対処を済ませましょう。携帯本体または電波が無い状況(山奥など)で、連絡手段が確保出来ない場合は、なるべく体の血液を循環させないよう安静を保ちつつ必要最小限の運動量で人か連絡手段を探すようにして下さい。
※血清はどこの病院にでもあるわけでは無いため、迅速なヘビの判別と病院への連絡が吉です。
A
ヘビ咬傷について
ニホンマムシは北海道から九州まで、ヤマカガシは本州、四国、九州に生息しているが、ヤマカガシ咬傷は非常に稀である。しかし、マムシ咬傷がその症状やヘビの判別の間違いからヤマカガシ咬傷と間違われることがしばしばある。
また、アオダイショウの子ヘビは親とは模様が異なり、人に出会うと頭を三角形にして威嚇し咬みついてくることもあるので、マムシと間違われることも多く、イワマムシ、シロマムシ、キマムシ、ヤシキマムシ、カママムシなどと呼ばれることがある。他にも、子ヘビと親で色や模様が違う種類も多いため、判別できないことがほとんどである。
●咬んだヘビの判別は難しい
毒蛇咬傷ではヘビの判別が非常に重要であるが、夜間の咬傷や昼間でも草むらで咬まれた時にはそれがヘビかどうか確認できないケースも多い。そのようなケースでは患者がヘビを確認していないため、あまり進行していない状態ではドクターも小さな刺し傷を虫刺されと誤診してしまうことが多い。そのためマムシ咬傷の治療が遅れ、腫脹が拡大して重症化してしまうことがある。
また、比較的よくマムシを見て知っている農家の人でも、下の写真のようにいろいろな色彩のマムシがいるため、判別を間違っている場合もしばしばある。そのため病院で間違った治療が行われることになる。このような判別間違いは多く、毎年ヤマカガシ咬傷と診断されてヤマカガシ抗毒素の依頼があるが、そのほとんどが誤診である。
●分布
ニホンマムシ・・・北海道~九州
ヤマカガシ ・・・本州、四国、九州
B
A. 色彩や模様からの判別
1) 褐色ないし赤褐色もしくは茶色ないしこげ茶色で、丸い大きな斑紋が体の左右に1列ずつ並び、 その斑紋の中心に暗色の点がある。眼では虹彩の下半分は黒っぽく、眼の後ろに太い黒い線が続く。全長は大きくても60cmほど。
→ニホンマムシ
2) [本州、四国、九州]
[関東、東北]
赤と黒の斑紋が交互に並び、下あごや頸の付近が黄色っぽい。
[近畿、中部]
全身がくすんだ緑色で、赤や黒の斑紋はほとんどないか、赤い斑紋がわずかに残る。
[中国、四国]
全体的に青っぽく、赤い斑紋があまり見られない個体が多い。
[九州]
赤と黒の斑紋が見られるが、関東産に比べると黒の斑紋が大きい。
→ヤマカガシ
3) オリーブ色ないし灰色で背中の中心にそって、はしご状の模様がある。虹彩の色はうすく、眼の後ろに黒い線が続く。
→アオダイショウの子ヘビ
関東・東北
近畿・中部
中国・四国
C
注意)ヤマカガシやシマヘビでは全身が黒い個体(黒化型)がしばしば見られる。マムシでも、かなり赤っぽいのから黒いのまで色彩にはかなり変異があり、また、丸い斑紋も形がくずれていることがある。
B. 牙痕(咬まれた傷跡)からの判別
D
1) 針で刺したようなあとが1つまたは1cm前後の間隔で2つある(時には3つまたは4つの場合もある)。まれに小さな切り傷として残ることもある。
→ニホンマムシ
2) 1,2列ないし4列の歯形がある。しかし、咬まれた時には前の歯だけが引っかかる場合が多く、1、2mmの間隔で2、3個の傷が見られる。
→ヤマカガシおよび無毒ヘビ
C. 症状からの判別
1) 特別な症状はない。
→ヤマカガシおよび無毒ヘビ
2) 咬まれた局所を中心に痛みと腫れが広がる。(まれに軽度の場合もある)
→ニホンマムシ
3) 数時間から1日ほど経過して、歯ぐきや傷からの持続性の出血が見られる。30分ほどで一過性の激しい頭痛を伴うこともある。
→ヤマカガシ
4) 痛みや腫れは軽いが、血圧の低下や出血傾向が見られる。
→ニホンマムシ
D. どうしてもヘビが判別できない場合、確信が持てない場合、またはヘビかどうかも判断ができない場合
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